ナムアミアン

アニメ/音楽/映画/美術の話などをする予定でした。

きっと、素晴らしい仕事に就くんだと思って泣きながら寝ることがある。

星野源さんのことがあんまり好きじゃなかったんだけれど、MIU404を鑑賞して、覆りました。なんだか、人のいい演技をするなと感じ入った。何か人徳的な場面で(言うまでもなく台本や監督の意見を汲んだ上で)頼もしい顔をすると言うか、道徳心のある演技をする、人のいい生活が演技に出ている。顕著だったのが、ありがとうと言う挨拶のセリフが無理ない温度感があったところですね。道徳的なところで心を動かしている演技は、特筆して臨場感があった。素朴ないい人なんだなと思いましたね。

でも私は、自分が不憫だと思って泣くようなセンチメンタルな人が好きです。これ以上傷つくだろうと思って傷つきにいくような人が好きです!尾崎豊宮崎駿に代表されるような・・・

宮崎駿が今すごく好きで、何か世間の頼りなさに怒るんだよ。尾崎みたいに。ドキュメンタリーで、若いアニメーターに怒ってた姿があったが、宮崎のパワハラに見ないで欲しいって感情移入してしまうくらいには宮崎駿が好き。その怒りの現場というのが、風立ちぬの制作だった。若いアニメーターは、関東大震災で風呂敷を持って逃げる女の姿を、荷物の風呂敷を手提げのように下げて走って転ぶように描いてた。それに対して、宮崎は「風呂敷は体に抱き寄せて持つものだ、こうじゃない、書き直しだ」ってゴミ箱に捨てちゃう。書き直すのも多分、宮崎がやるのだろう。若いアニメーターの仕事に「何も考えないで生きてるのか!」って怒鳴ってたんだけど、それってお前に向上心はないのか、というような怒り方なんだよ。お前はこんな人生でいいのか!?っていう、自分のために妥協した人生を送るな、っていう怒りなんだよね。アニメーターなんて時間が命で、動かすものを作っているのだから、時間という観念に襲われる。動きの速さの区別はもちろん、作業時間で時間の使い方を学ぶ。自分もアニメを作ったことがあるけれど、1分弱のアニメを作るのに400枚は書かなきゃいけなかった、私の場合は。一枚1分掛けても、400分。1分で描ける絵なんてないので、30分かけても、12000分。200時間かかる。2時間アニメなら、もっとだよ。だから分担して作業しているんだけどね。だから人に怒ってる時間なんて正直ないんだよ。大手のアニメ会社なら、ここ直してください(全部)みたいな感じで、付箋つけられて突き返されるされるだけだけれど、宮崎は自分の机に呼び出してキレる。説得しようとしてくる。仕事の不出来さが能力の低さなんかじゃなくて、性根にあると思っているんだ。自分の善意を突きつけるのがパワハラだよって言われたら何も言えなくなっちゃうけど、不服を唱えているわけじゃなくて、世の中の責任のなさに、怒っているんだ、志はなんだったんだ、という感じで、熱意のある人なんです。わかってよ!!!

こういう、自分の仕事で得た哲学を常用している方で、千鳥の大悟さんなんかも、「上下関係の厳しいところで研鑽を積んだ人は面白い」って哲学があるみたいですね。挨拶とか礼儀に厳しいらしいのですが、相席食堂で、ギャルとプロレスラーは面白いって、上下関係しっかりしてるからだねという風だったので、自分の置かれている縦社会の意義を見出しているということなのでしょう。(今すごいごちゃついているけれど)

自分の得た芸の哲学を、上達の道を他人にも惜しみなく施してやれる人になりたいですね。宮崎さんのように、は勇気ないけど、みんなが、芸術的な人生を臨めるように考えで私は邁進していきたい。

 

今日はもうこの辺にしよう!